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小千谷にて・その9

ある日、祖母が大事な物をいつもとは違う場所へ仕舞い込んでしまったらしく、父が祖母に声を荒げました。可哀想で聞いていられなかったのですが、父の気持ちも解からないではありません。何度言って聞かせても、すぐに忘れてしまう祖母。病気だから仕方の無い事は父も承知しているのですが、一人で毎日面倒をみなければならないストレスがそうさせてしまうのです。

忘れる事は、別の見方をすれば、“天からの贈り物”とも言えるのでは? 今回の帰省で、そう思わされました。
祖母が呆け始めたのは、祖父が亡くなった事がきっかけでした。昨年は息子二人にも先立たれ、その耐え難い悲しみを忘れていられるよう、呆けが進んだのではないかと。これは今回わたしの亡き叔父の家を皆で訪ねた時、その遺影を見た祖母が「○○(←叔父の名です)は死んだのか? なんでオレより先に死んだか・・・」とオイオイ泣いたのを見て気付いた事です。

父が部屋から離れるのを見た祖母は、わたしに向って、
「オメェさんみてぇな優しい子が、ずーっとオラんとこ居てくれればいいろー」
「・・・バァちゃん、お父さん、怖い?」
「お父さん、オメェさん達には、怒鳴ったり、怒ったりしねぇか?」
逆に聞かれてしまいました。わたしは努めて明るく、
「そうでもないよー。バァちゃんが聞こえないと思って、大きな声出すんじゃないかなー?」

祖母は応えず、“そうじゃない”という顔をして、寂しく笑っておりました。

自分はなんと無力なのでしょう。お金の面で祖母や父の助けになる事もできず、話し相手になるのがやっとの情けない孫娘です。年だけは充分取っているのですが・・・。

大きな宿題を貰って帰ってきた、今回の小千谷への帰省でした。

雪と南天

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